カフェアルファの場所はどこ?
カフェアルファとは、主人公のアルファさんが店主を勤める喫茶店で、もちろん物語の最重要な舞台です。
その場所の最大のヒントは物語冒頭の見開きに描かれた俯瞰図です(第1話)。しかしその特徴的な構図にもかかわらず、ファンの間では所在地の特定には至っていないようです。しかしながら、概ね二つの候補に絞られています。
ひとつは「黒崎の鼻」もうひとつは「西ノ崎」です。
GoogleMapを利用した俯瞰図を比較してみます。
(黒崎の鼻)
(西ノ崎)
どうでしょうか。とてもよく似ています。この二ヶ所に候補が絞られているのもうなずけます。しかしながら、作中の俯瞰図と構図がより似ているのは(黒崎の鼻)だと考えます。長井の台地の東側の浸水域を目印に、和田地区先端経由で黒崎までの見通し線を引くと、下図のようになり作中俯瞰図と一致します。また、黒崎~和田間の距離はおよそ360m。作中俯瞰図も電柱間隔を一般的な30mと考えれば、同一見通し線上で360~420mとなります。
よって、地理的にはカフェアルファの所在地は黒崎とするのが正しく思えます。しかし、それでは下記のように作中に矛盾する箇所が生じることもまた事実です。
- 作中俯瞰図には、黒崎~和田間の水面下に弧を描く遠浅の海底が見えるが、実際ここは1960年台に埋め立てられ「初声マリーナ」というコンクリートの護岸に守られた港となっている。(現在は廃墟化)一方で西ノ崎~黒崎間には三戸浜というまさに弧を描く浜が存在している。
- 作中ガソリンスタンド近辺からカフェアルファに向かう道は、アップダウンもあれば、少々のカーブも存在している。黒崎は飛行場跡であるので、基本的に直線道路しか存在していない。
- ガソリンスタンドはカフェアルファから北に位置するはずだが、黒崎から北には候補地がない。
- 作中カフェアルファの常連客より、「もともと この道は先のほうにあった別荘街のためにつくられたらしい」との記述がある(第30話)。しかし、黒崎の道は農道であり、別荘街のために作られたわけではない。一方、三戸入口から西ノ崎に向かう市道17号線は、「御用邸道路」と呼ばれており、昭和初期に小網代湾一帯に計画された「初声御用邸」計画の名残である。加えていえば、カフェアルファのもう一方の候補地である西ノ崎の先端部は光照寺の裏手にあたり、まさに御用邸建設予定地そのものである。風光明媚な土地柄から周辺の小網代湾一体は今も別荘が立ち並ぶ。
以上のことから、カフェアルファの所在地は地理的に黒崎であるものの、作中で断片的に表現されているヒントからは西ノ崎を示すものの方が多いです。
個人的には、後述するつもりの「ある理由」から黒崎を押したいところではありますが、西ノ崎から溢れ出るロマンも到底捨てがたいと思っています。
気になるのが、西ノ崎は周辺の雰囲気は素晴らしいものの、私有地ですから海に向けて自由にスケッチや写真撮影はし辛いです。一方の黒崎は自由に出入りでき、スケッチ等はし放題です。
…とすると、おそらくですが、第1話の俯瞰図を作成するためだけに黒崎は選ばれたのではないでしょうか。
そこで、当ブログではカフェアルファの所在地を、作中の描写と一致しやすい西ノ崎と仮定して探索を進めることとします。